立憲デモクラシー講座


平成デモクラシーのおわりのあとに 河野有理×山口二郎【2022 春の立憲デモクラシー講座】220722

すっかり夏になりましたが、2022春の立憲デモクラシー講座最終回をお届けします。参議院選挙の結果は、国民が現状を肯定し安定を求めていることを示したと言えるのでしょう。それは、戦後、現状への不満と変革への期待をエネルギーとしてきた社会が、現状の肯定と変化への怖れに覆われるようになり、「戦後革新」のおわりがやってきたことを意味するのかもしれません。そのような状況にあって、この先に見えてくる「夜明け」はどのようなものであり、どのように招き寄せることができるのか、答えはまだ霧の中です。デモクラシーの旗を振り続けてきた山口二郎さんの自問に、一世代若い河野有理(法政大学教授)が、温かくしかし厳しく突っ込みながら、進みます。

収録は、2022年7月22日


戦争と抑圧の時代 杉田敦×五野井郁夫×岡野八代【2020春の立憲デモクラシー講座】20220605

春の立憲デモクラシー講座も終盤となりました。杉田敦先生(法政大学法学部教授)の進行で、岡野八代先生(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科教授)、五野井郁夫先生(高千穂大学経営学部教授)が、今まさに進行中の危機について話します。一つは、人類を支え面々と続いてきた知の蓄積に加えられる政治の攻撃、もう一つは異なる存在、異なる意見の共存こそが立憲主義の前提であるのに21世紀にも繰り返されるむき出しの力による共存の破壊。考え続けることの大切さを感じる1時間でした。

収録は2022年6月5日


憲法 守るべきものは何か 長谷部恭男×石川健治【春の立憲デモクラシー講座」20220422

長谷部恭男先生と石川健治先生にうかがうロシアのウクライナ侵攻の本質。異なる価値観・異質の国の共存する世界、異なる価値観・異質の個人が共存する社会を目指し、決闘によって相手を殲滅するのではない紛争の解決を目指してきた私たちの時代は今危機に直面しています。しかし、では互いに相手を殲滅する決闘によって秩序が形成される世界にまた戻ってよいのか。翻って、日本は自国の憲法原理をどのように守っていったらよいのか、武力による自国の防衛が侵略してくるかもしれないと想定する国に対する先制的反撃能力の保持につながるのか、憲法9条が存在する意味はなにか、難しく深遠な問いをめぐる1時間です。

収録は2022年4月22日


ロシアの侵攻が突きつける問い 遠藤乾(東大)千葉眞(ICU)三牧聖子(同志社大)【春の立憲デモクラシー講座】20220419

地続きの国境線を極めて視覚的に明確に戦車で超える「力による現状変更」が行われたことに驚きを禁じえません。力による平和の蹂躙をどうしたら止められるのか、なぜ、ここでロシアから過去の戦争の亡霊がさまよい出たのか、歴史を紐解きながら、この事態をどう分析し今後に展望を持ったらよいのか、遠藤乾(東大大学院法学政治学研究科:EU政治等)千葉眞(国際基督教大学名誉教授)三牧聖子(同志社大学大学院准教授=米国政治)の各先生に議論していただきました。進行は、山口二郎です。

収録は、2022年4月19日


アホダノミクスに終止符を 水野和夫×浜矩子【春の立憲デモクラシー講座】20220317

人間を幸福にする経済はどうつくるか、真剣に考えなければならない時です。岸田政権の掲げる新しい資本主義の化けの皮をはがしつつ、今後の時代を生きる姿勢を提案します。

水野和夫さん(法政大学)と浜矩子さん(同志社大学)の異色の取り合わせで、お届けします。

収録は、2022年3月17日


野党存亡の危機、何やってるんだ?(中北×山口×和田)【2022春の立憲デモクラシー講座】20220310

春休みにお送りする2022年版【春の立憲デモクラシー講座】

中北浩爾さん、山口二郎さんに和田靜香さんが聞きます。

参院選でリベラル野党はなくなってしまうのではないか、野党にもう希望はないのか、何が悲しくて国民民主は連合と自民にすり寄るか、もう見捨ててしまえ、とご意見は厳しいですが、知っているようで知らない日本の野党と自公の強さの背景をうかがいます。

収録は2022年3月10日


「メディアと政治」を考える 石田英敬(東京大学) 立憲デモクラシー講座ー⑦

立憲デモクラシー講座も第7回。講師は、東京大学で記号論とメディアを研究する石田英敬教授。

これが、予想外の大講義となりました。一挙公開します!

啓蒙思想の普及をささえた印刷術の紙の時代は、20世紀初頭の大型輪転機と電信の普及によって変容し、政治が、活字と映像の影響力を駆使しメディアを利用する時代となった。そして、1990年代以降のコンピューター、インターネットの普及によって、デジタルメディアの網の目にすべての人々が繋がれる世界が生まれた。

メディアを利用した人々の意識への働きかけ、利用の技術は、アメリカを第一次大戦参戦を誘導したようなプロパガンダから、PRと名を変えさらにマーケティングへと変貌した。

 今、資本主義を支えるに至ったマーケティングが政治に活用される時代である。デジタルメディアの時代には、ひとりひとりにカスタマイズされた情報が届けられる。そういう時代に、私たちの意識は、ほんとうに私たちが自ら形成した意識と言えるのか。

現代では、ネットを通じて利用者が無意識のうちに提供する情報を大量に収集し、それぞれの利用者にカスタマイズした情報を効率よく提供できる。ネットを利用する私たちは私たち自身の言葉を持つことになるのだろうか。

 いま、改憲という国民の選択が問題となる。政治とメディアの関係、デジタルメディアが選択に与える影響を十分検討したとは思われない国民投票法は、改正が必要だ。


立憲主義と9条③ 私的領域を守る立憲のシステム 石川健治 立憲デモクラシー講座⑥

立憲デモクラシー講座 石川健治先生(東京大学)の「立憲主義と9条」の3回目。大河講義もいったん終了です。

立憲主義は、多様な価値観の共存を維持するために、私的な自由の領域と公共空間を峻別し、権力の圧迫に抗し、他方で人々に公共空間に私的な価値観を持ち込まないことを求めます。どんなに素晴らしい価値観であっても、それを公が個人に押し付けることはできません。

そうすると、すべての戦争を否定し絶対的平和主義を身上とする人も、この考えを公共空間に持ち出し、他人に押し付けることはできない。自分が正しいと考える思想も、公共空間い持ち出して他人に強要することはできない、たとえそれが9条であっても(そうなんですか!)

私的な領域を守るために、立憲主義は公共空間の権力を細分化し分立させる。軍権、宗教、金権を分離することで、権力が私的領域を侵害することを止めてきた。9条は、権力から軍権を奪い、そのことで私的領域の自由を守っている。

他方で、9条は300万の国民とアジアの2000万の人々の犠牲の上にあり、平和主義の象徴であるという考え方が、絶えず境界線を押し破って私的領域に侵入してこようとする公共空間・権力の圧力を押し戻す重要な熱源であった・・・。

立憲主義の常識と9条の持つ意味・・・立憲は熱くなれない・・・刺激的な講義でした。


立憲主義と9条② 民主化と立憲化のコントラロール 石川健治 立憲デモクラシー講座⑤

立憲デモクラシー講座、石川健治先生(東京大学)の2回目。

9条に今の自衛隊の存在を認める項目を一つ加えるだけ、何も変わりませんよ、という言葉にごまかされそうになります。

しかし、9条を変えて自衛隊を書き込むことは、憲法の立憲主義の側面を変質させます。「外交」ではなく「軍事」の選択肢を権力に正面から認め、「軍事」を例外から原則に転換すること。それが、権力分立と人権保障によって人々の私的自由を守ってきた立憲主義の変質に繋がる、そのことを考えなければならない。石川先生の講義は、さらに熱を帯びます。私たちの私的な領域を確保し、自由を守ってきた立憲主義の思想は、単純な多数決による決定に警鐘を鳴らし、民主主義の暴走を抑えてきました。その背景を抜きに、9条の改正は語れません。

収録は、2018年2月15日


立憲主義と9条① 立憲・形式・実質/9条の本質 石川健治 立憲デモクラシー講座④ 0215収録

今一番刺激的な憲法学者 東京大学の石川健治先生の登場です。

①から③まで、大河講義をお楽しみください。

第1回の今回は、constructionの根源的意味から、立憲・形式・実質の緊張関係、明治憲法の成り立ちを立憲主義、美濃部達吉を中心とするより立憲的実質と組んで立憲を支えようとする試みが、同じく実質であった統帥権の独立をも取り込むこととなり崩壊した過程と戦後の立憲が形式憲法と組んで支えられてきた状況をおさらいします。そして、憲法9条が、国内的に自由の確保につながる立憲を支えるとともに、対外的には仮想敵を前提とする同盟政策を否定し共に生きる安全保障政策をとることを定めたという価値に至ります。

 ぜひ、かぶりつきでお聞きください。


9条改憲の論点 長谷部恭男 立憲デモクラシー講座③

立憲デモクラシー講座も三回目。

今回は早稲田大学の長谷部恭男先生です。

テーマは、9条改憲論の面妖さ。9条改憲の論点。

長谷部先生の9条論は、とても刺激的。アベ流解釈は論外、しかし、非武装無抵抗の絶対平和主義の準則でもない。憲法は「良識に立ち戻れ」と呼びかける文書であり、9条に意味を与えるのは、不断に良識を問い続ける人々である。その営みは、近代以降の立憲主義の社会に生きる人々の宿命。・・・ということでしょうか。

【お詫び】

収録したデータの一部が破損したため編集をしましたが、一部音声が不良でカメラが揺れるところがあります。ご了承ください。

である。き手の困惑が迷走を呼近代以降の世界に生きる人の宿命


【音声改良版】立憲政治とは何か 杉田敦  立憲デモクラシー講座➁

立憲デモクラシー講座 第2回(音声を多少改良し再アップ)

杉田敦さんに、「立憲政治」とは何か、いま問題となる9条の改憲にはどのような問題があるのか、を語っていただきます。

デモクラシー(民主主義)は私たちの権力を樹立しその代表が政治を行うという「権力を強める」原理、立憲主義はが定めた枠の中で政治を行う「権力を規制する」原理。立憲デモクラシーは、たとえ民主的決定でも奪うことのできないものがることを前提としています。

その立場から、現在の9条改憲論議を解明すると見えてくることは?

次回は、「9条改憲論」を長谷部恭男さんにうかがいます。


アベ流壊憲にNO! 山口二郎 立憲デモクラシー講座①

いよいよ始まる新しいシリーズ!

立憲デモクラシーの会がお送りする知的冒険

第1回は、アベ流壊憲にNO! ~2018年という分水嶺

山口二郎さんが、今の憲法をめぐる情勢を俯瞰し、ナチスの手口に警鐘を鳴らし、今後を語ります。

以下、難しい話もやさしい話も面白い話もへ~~~という話も次々と 綺羅星のような講師が語ります。

順不同ながら

立憲政治 杉田敦(法政大学)

立憲主義 石川健治(東京大学)

第9条  長谷部恭男(早稲田大学)

以下、月に2回、約10回のシリーズです。