シネマニア
差別と戦った米連邦最高裁の女性判事 北丸雄二さんが読み解くRBG【シネマニア vol.10】
9月に亡くなった米連邦最高裁判所判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグは、性差別をはじめとするさまざまな差別的制度に果敢に挑み続け、晩年にはポップアイコンとして若い世代に人気を博し、死後の今もなおアメリカ社会に大きな勇気を与えています。その足跡の意味するところを、アメリカの司法制度や三権分立の風土を踏まえ、2本の映画を参照しながら、北丸雄二さんに解説していただきました。
『RBG 最強の85才』公式サイト
http://www.finefilms.co.jp/rbg/
(アマゾン、U-NEXT などで配信中)
『ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト
https://gaga.ne.jp/believe/
(アマゾン、U-NEXT などで配信中)
.K.ローリング問題そして”新宿解放区”のピーター伝説
前回に続き、トランスジェンダー・アクティヴィスト畑野とまとさんのお話を伺います。J.K.ローリングの反トランスジェンダー行為が大きな問題となっていることから始まり、60年代、新宿という限られた世界で生きたLGBTQの人びとの歴史的な記録ともなっている映画『薔薇の葬列』、そして現在、子どもを持つことなど社会の中で生きるゲイを取り巻く問題、性的マイノリティに目覚めた若者とその周囲の課題など、LGBTQをめぐる過去現在を縦横に語っていただきました。
★最後の5分ほど、機材トラブルにより音質が少し悪くなりますががご了承ください。
『薔薇の葬列』Funeral Parade Of Roses
https://archive.org/details/FuneralPa...
『his』公式サイト
https://www.phantom-film.com/his-movie/
『カランコエの花』公式サイト
https://kalanchoe-no-hana.com
『アポロンの地獄』予告編
https://youtu.be/SF4as8gnELc
(U-NEXTなどで配信中)
『ナチュラルウーマン』予告編
https://youtu.be/PJx38Yu2zl4
U-NEXTなどで配信中
『トーチソング・トリロジー』公式サイト
https://trailers.moviecampaign.com/de...
認定NPO法人ウィメンズアクション ネットワーク(WAN Womens Action Network)
https://wan.or.jp
畑野とまとさんと北丸雄二さん、トランスジェンダー映画を語る
『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』予告編
https://www.netflix.com/watch/8129430...
サム・フェイダー監督インタビュー全編
https://note.com/normalscreen/n/nfdec...
『リリーのすべて』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=k9_zm...
『ボーイズ・ドント・クライ』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=R6Zbg...
『彼らが本気で編むときは、』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=-Y_K6...
『ミッドナイトスワン』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=qFWyZ...
北丸さんと畑野さんのお話は、映画やテレビでトランスジェンダーはどのように描かれてきたか、アメリカを中心にその歴史を辿り、現代日本の映画の中のトランスジェンダー表象に至るまで、尽きることがありません! 基本的な概念の意味も解説していただき、トランスジェンダー入門にもってこいの70分です。
凛としたレズビアンたちに21世紀が贈るエール 北丸雄二さんが語るレズビアン映画
『キャロル』予告編
https://youtu.be/5y2sv3SSJqs
『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』予告編
https://youtu.be/ALAewF-Qfso
『キャロル』は、性的マイノリティとして生きることが困難だった保守的な50年代に、社会的な重圧にめげず自らの道を選択した女性たちの物語です。この映画に監督のトッド・ヘインズが込めた渾身のエールには、映画化された2015年という、多様性が一段と声を強めた時代が感じられます。片や『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』は、才能あふれる新進の監督による、ジェネレーションZがSNSを生活の一部として繰り広げる、まったく新しい感覚の学園ラブコメディです。そこには、性的多様性をあたりまえとして受け止めていく若者たちの姿が、共感を呼ぶものとして描かれます。どちらも心に残って勇気の素になるような作品ですが、北丸さんがおっしゃるように、『キャロル』、『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』の順にご覧になるのがお勧めです。
ゲイを攻撃する社会、自らを肯定しえないゲイ 北丸雄二さん、2本の名作を語る
『モーリス』予告編
https://youtu.be/PWYEeMTEEvw
『君の名前で僕を呼んで』予告編
https://youtu.be/_O6derhE1n0
片や20世紀初頭、片や20世紀末。片やイギリス、片やイタリア。時代も場所も異なり、同性愛をめぐる社会情勢も異なるにもかかわらず、どちらの作品でも自らを受け入れるゲイと拒否するゲイのカップルを描いた脚本家にして監督、J・アイヴォリーの意図はどこにあったのか。また、相似形を呈するかに見える2作品の決定的な違いはなにか。今回も、北丸さんの豊かな蘊蓄と緻密な分析が、美しい映像の底に流れる過酷にしてドラマティックな歴史のうねりを現前させてくれます。
12年後のオマージュはハッピーエンドだった 北丸雄二さんと語る2本のカウボーイ映画
『ブロークバックマウンテン』予告編
https://youtu.be/4wtoRvtXIG4
『ゴッズ・オウン・カントリー』予告編
https://youtu.be/-YzCSlisHOA
『ブロークバックマウンテン』は、20年にわたって美しい自然の中に育まれる男同士のラブストーリーと受け取られてきました。しかし、制作から15年、ストーリーの時代設定からは半世紀を経た現在、この作品はまた新たな様相を呈し、問題を投げかける、と北丸さんは言います。
そして、「羊の群れを追う2人の男の物語」はそのままに、舞台をアメリカのワイオミングからイギリスのヨークシャー地方に移した『ゴッズ・オウン・カントリー』は、『ブロークバックマウンテン』へのオマージュであると同時に、時代の変化を反映し、男同士が愛し合うことをより肯定的に描いています。
今回も、深く広い社会史的・文化史的な知見を踏まえて映像を読み解く北丸さんのお話をご堪能ください。
※ 34:14 頃に出てくる 「ロエベ(LOEWE)」は皮革製品で有名なスペイン発祥の世界的なブランドで、銀座7丁目に日本における旗艦店があります。
ポワチエから50年、新感覚の人種差別ホラーを北丸雄二さんと語る
「映画で知るブラック・ライブス・マター」第4回は、往年の名作『招かれざる客』と最新の感覚で現代を鋭く風刺する『ゲット・アウト』です。
『招かれざる客』予告編
https://youtu.be/4a56FnhtuGI
U-NEXTで配信中
『ゲット・アウト』予告編
https://youtu.be/i8ON7edKkKQ
U-NEXT、Netflix、Amazonプライムなどで配信中
50年の時を隔てたこれら2作は、白人の女性が恋人である黒人男性を実家に招くというストーリーの冒頭が、驚くほど似ています。しかし、似ているのはここまで。家族の反応もその後の展開も、2作は天と地ほどに違います。
ジョーダン・ピール監督は、人種や経済格差にまつわる社会問題に鋭く切り込むスタンダップコメディアンとして、抜群の人気を誇ります。自ら脚本も手がけた本作品では、アカデミー脚本賞を獲得しました。新しい感覚が切り開いて見せるのは、アメリカに限らず、私たちにとっても他人事ではない現代の病理です。
2020年7月30日収録
映画『フルートベール駅で』で北丸雄二さんと黒人への制度的差別を語ろう
「映画で知るブラック・ライブス・マター」第3回は、『フルートベール駅で』です。
カンヌ国際映画祭ある視点部門第一回長編作品賞、サンダンス映画祭ヴァンガード賞などを受賞した本作品は、U-NETX で配信中です。
『フルートベール駅で』予告編 https://youtu.be/iwEynmI63Pw
2009年1月1日、カリフォルニアのオークランドで、黒人青年が鉄道警察によって射殺されるという事件が起きました。これは、撮影された動画がテレビニュースで広まり、社会的な反響を呼んだ最初の事件の1つです。
作品は、犠牲となった22歳のオスカー・グラントの、死に至る17時間の「日常」を描きます。だめなところもある、でも心優しいオスカーが、なんとか自分も周囲も幸せにしようとあがく姿を、映画は追います。そこに浮かび上がるのは、1人の人間がまさに生きていたのだという、通り一遍の報道では知ることのできない事実です。
事件当時、脚本・監督のクーグラーは犠牲者と同年輩で、事件の起きたカリフォルニア州の大学で映画を学んでいました。クーグラーは、犠牲者の家族や友人を綿密に取材し、脚本を書き上げました。
BART(ベイエリア高速鉄道)は、事件現場のフルートベール駅での撮影を許可し、映画ポスターの掲示にも協力しました。それだけ、BARTに対する抗議が激しかったということであり、BARTは抗議を真摯に受け止めている、ということの表明でもあります。
番組中で紹介した監督クーグラー、主演ジョーダンの4作品は、U-NEXT、Amazonプライムなどで配信中です。
映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』で北丸雄二さんと黒人のベトナム戦争を語ろう シネマニア No.2
「映画で知るブラック・ライブス・マター」第2回は、「ザ・ファイブ・ブラッズ」です。
『ザ・ファイブ・ブラッズ』Netflix 予告編
https://youtu.be/B_5Gqi6otlI
監督のスパイク・リーは、アフリカ系アメリカ人の問題を掘り下げてきたことで知られています。2018年には、「ブラック・クランズマン」でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、アカデミー賞脚色賞を受賞しました。
人口比をはるかに上回る比率で戦場に送られたアフリカ系アメリカ人にとって、ベトナム戦争とはなんだったのか。戦友の遺骨と隠した金塊を探すために、かつての4人の仲間がベトナムで再結集します。トレジャー・ハンティング、ギャングとの対決といった娯楽要素を前面に押し出しながら、歴史の裏面に今も大きく傷口を開けているアフリカ系の人びとの苦難と苦悩を浮き彫りにします。
北丸さんの解説によって明らかにされるマーヴィン・ゲイの音楽の意味や、ラストのキング牧師のスピーチに短く引用されるラングストン・ヒューズの詩の全貌(動画の最後に北丸さんによる訳があります)は、この作品をすでに観た人にもこれから観る人にも、映画経験をより豊かにしてくれることでしょう。
本作品はNetflixで公開中です。この他に、ネットで見ることのできる主なスパイク・リー監督作品には、以下のものがあります。
『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(1986)Netflix
『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)Netflix、U-NEXT、Amazonプライム
『クルックリン』(1994)Amazonプライム
『ラストゲーム』(1998)U-NEXT
『サマー・オブ・サム』(2000)Amazonプライム
『25時』(2002)U-NEXT、Amazonプライム
『インサイド・マン』(2006)U-NEXT、Amazonプライム
『オールド・ボーイ』(2013)U-NEXT、Amazonプライム
『シャイラク』(2016)Amazonプライム
『ロドニー・キング』(2017)Netflix
『ブラック・クランズマン』(2018)U-NEXT、Amazonプライム
『パス・オーバー』(2018)Amazonプライム
映画『13th 憲法修正第13条』で北丸雄二さんと黒人差別の歴史をひもとく シネマニア No.1
映画を通じて社会や政治の問題を論じる新番組「シネマニア 」、幕開けはシリーズ「映画で知るBLM」として、ジャーナリストの北丸雄二さんに4本の作品を選んでいただき、アメリカの黒人差別の問題に切り込んでいただきます。
『13th 憲法修正第13条』は、奴隷解放から現在まで、アメリカという国に制度として組み込まれた黒人差別の歴史を追ったドキュメンタリー映画です。今、彭湃としてわき起こり、大西洋を越えてイギリスにも飛び火したBLM(ブラック・ライブス・マター、黒人の命だってたいせつだ)運動を理解する上で、まず押さえておくべき作品です。
『13th 憲法修正第13条』予告編 https://youtu.be/krfcq5pF8u8
『13th 憲法修正第13条』はNetflixで配信されています。
また、YouTubeにも無料で公開されています。
画面右下(番組内では「左下」と言っていますが、「右下」の間違いです)の歯車印をクリックすると、字幕を選べます。
https://youtu.be/krfcq5pF8u8
ブルックリン(ニューヨーク)のベッドスタイ地区のコーヒーショップが掲げた「Black Lives Matter」のプラカードに抗議し、「All Lives Matter!」と連呼する男性
https://youtu.be/rOy2Z2r5C3c
2020年7月3日収録