白井聡 ニッポンの正体


【白井聡 ニッポンの正体】「自公」終焉と新しい対立 ~有権者は、何を求めているのか~

衆院選挙によって、日本の政治の風景が激変しました。自公政権が少数与党に転落したことで、野党の主張、政策提案を飲まざるをえなくなったためです。

そんな中、国民民主党の、若者世代に焦点を絞った「手取りを増やす」=年収「103万円の壁」の引き上げが政局を作りだしています。その裏には、持てる高齢者世代への若い世代の反発という「世代間対立」の萌芽も感じとれます。衆院選によって終焉を迎えた「一強多弱体制」と新しいテーマについて考えました。

2024年11月10日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】変わらぬ日本をどう変える ~いま敢えて問うレーニン「力」の思想~

衆院選が公示されましたが、物価高と経済低迷、先行きの見えない日本を本気で背負っていく覚悟を持った政治家は、果たしているのでしょうか。

根底から国家を考え抜き、世界を変えるとはどういうことか。今回は、革命家レーニンの研究家でもある白井聡さんと、白井さんのレーニンに関する新著などを基に考えます。レーニン、絶対面白い!

◆白井聡さん新刊

「物質」の蜂起をめざして ——レーニン、〈力〉の思想 (ちくま学芸文庫)

https://www.chikumashobo.co.jp/produc...

・レーニン演説 "労働者を救うには…" (HISTORY CHANNEL)

• 【日本語字幕】レーニン演説"労働者を救うには…" - Lenin spee...

・番組内に出てくる特殊法人一覧

https://www.soumu.go.jp/main_content/...

2024年10月18日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】一触即発!ヘイトの導火線 ~見て見ぬフリする政治家の責任~

東京都の小池百合子知事は、今年も9月1日に、関東大震災時の朝鮮人虐殺犠牲者追悼式に追悼文を送りませんでした。石原慎太郎知事まで歴代の知事は送り続け、小池知事も2016年知事就任1年目は送付していたのですが、都議会で自民党議員から指摘されてから8年連続、拒否しています。それと呼応するように、追悼式は右派の妨害に遭っています。差別と偏見、歴史の否定が事件から101年後の今も続いているのです。一方、最近では、埼玉県川口市を中心としたクルド人コミュニティーへのヘイトが絶えません。事実に基づかないヘイトは必ず暴力に発展します。関東大震災の朝鮮人虐殺は過去の話ではありません。この二つの問題を通して、現代のヘイトの危険を考えました。

2024年9月6日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】日本が「核武装」する日 ~潜伏する核のナショナリズム~

広島・長崎は79回目の原爆の日を迎えた。被爆者はもちろん、日本国民の多くは、二度と原爆を使うようなことがあってはならないと考えているが、日本政府の中枢は、核兵器は一等国の証だと考えてきた。

こうした「核ナショナリズム」は、この国の中で、核燃料サイクルという形で潜在的に継続している。

原発と核兵器の関係を解き明かしながら、日本の「核武装」への見果てぬ夢の内実を議論した。

◆白井聡さん新刊

『ニッポンの正体:漂流する戦後史』河出文庫

聞き手:高瀬毅

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784...

司会:高瀬毅

2024年7月31日 収録


「米国一択」は日本凋落の道 ~中ロ接近・GS台頭の世界で~【白井聡 ニッポンの正体】

世界は、いま目まぐるしく、外交が展開されています。最近では、中ロ首脳会談、ウクライナ主催の平和サミット、ロシアのプーチン大統領の北朝鮮訪問と相互支援の条約。同じくプーチンはベトナムを訪問し、安保と経済協力の連携強化を図りました。台頭著しいグローバルサウスは、米欧とも中ロとも距離を取り、独自の極を形成しつつあります。そんな中、米国一辺倒とも言ってよい日本は、世界の中で存在感を示すことができません。経済力の低下ととともに政治的影響力も減じていく日本の今後を考えます。

◆白井聡さん新刊

『ニッポンの正体:漂流する戦後史』河出文庫

聞き手:高瀬毅

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司会:高瀬毅

2024年6月23日 収録


韓国から学ぶ日本の明日【白井聡 ニッポンの正体】

日本の喫緊のテーマは少子化問題。ただ日本よりもっと深刻なのが韓国。合計特殊出生率はOECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中、唯一「1」を割り込み、0.72。日本は1.26。少子化は社会の住みにくさと比例する点もあり、日本も韓国のあとを追っていく可能性がある。一方で韓国は、エンタメが世界を席巻するなど光と影のコントラストがくっきりとしている。韓国の成功と問題を基に、日本が学ぶ点を考える。

◆白井聡さん新刊

『ニッポンの正体:漂流する戦後史』河出文庫

聞き手:高瀬毅

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784...

司会:高瀬毅

2024年5月19日 収録


絶望の「自民党依存症」【白井聡 ニッポンの正体】

裏金問題を巡って自民党が右往左往している。

しかし、事ここに至っても本気で改革する意欲は見えない。

相変わらずの権力闘争と駆け引きで物事が決まっていく。

もはや政権政党の体をなさず、責任能力もない。

次の時代の扉を開けるには自民党の下野か解体しかない。

4月28日の衆院3補選と、いずれ行われる選挙で有権者の1票が問われる。

司会:高瀬毅

2024年4月14日 収録


なぜ、東京だけ繁栄するのか ~止まらぬ再開発のからくり~【白井聡 ニッポンの正体】

総務省が今年1月に2023年の人口移動報告を公表しましたが、東京都では転入超過者が転出者を上回る「転入超過」が約7万人に上りました。昨年よりも3万人余り多く、東京への一極集中が続いています。一方で、地方は人口減が止まらず、不均衡と格差が拡大しています。

この背景には、東京を国際競争に負けないための都市として再生、強化する再開発が影響しています。

急速に変貌をしている「東京だけの繁栄」の問題を考えました。

司会:高瀬毅

2024年3月22日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】朝鮮半島「有事」はあるのか ~米の警告とトランプリスク~

自民党の裏金問題に多くの報道が割かれる中、世界各地で将来の大きな変動につながるような摩擦や、軋みが生じています。日本の周辺、朝鮮半島でも、いま静かにこれまでと違う状況が生まれつつあることを米国が警告。

さらにトランプが次期大統領に再選される可能性が大きくなっています。もしそうなれば、世界はさらに混沌としたものになることが予想されます。その時、日本には何が起きるのか。どんな変化や力が及ぶのかを考えました。

司会:高瀬毅

2024年2月20日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】「公助」崩壊の時代~地震救援失態とショックドクトリン~

※お詫びと訂正※

13:05ごろのデータに大きく「差し替え」の文字がありますが、こちらは1/27時点の最新のものです。申し訳ありません。

能登半島地震から、早いもので1か月近くになろうとしてます。これまで(1月27日時点)に236人の死亡が確認され、19人の安否が分らないままです。また避難所生活を強いられている人も1万4000人を超えています。志賀原発も、あわやという状況になっていたことが徐々にわかってきました。しかし、今回、政府と地元自治体の初期対応は、酷いものでした。過去の政権には見られない、作為的ではないかとすら思える腰の重さに、地方切り捨て、公助の崩壊が始まる兆候が明らかにみられます。これまでと何かが違う能登半島地震の対応を通して、変化する日本の政治、社会の質を考えます。

司会:高瀬毅

2024年1月21日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】社会も仕事も回らない!~人口減は、資本主義の終わり~

日本の凋落が止まりません。IMF(国際通貨基金)は、10月、23年の日本のGDPがドイツに抜かれ世界4位に落ちる見込みと発表しました。原因の一つが人口減。資本主義が発達するほど、ヒトを軽視し、資本主義が成り立つための条件を損ってしまうのです。日本だけでなく世界の先進各国もいま出生率が低下の一途。家事労働、自然環境などによって支えられている資本主義が、そうした「外部」を喰いつ荒らして発達した結果、いま崩壊過程にあることの証左と見ることもできます。人口減と資本主義の関係を2冊のテキストを参考に白井さんと読み解きます。

・「人口ゼロ」の資本論

https://bookclub.kodansha.co.jp/produ...

・資本主義はなぜ人を幸福にしないのか

https://www.chikumashobo.co.jp/produc...

白井さん解説

https://www.webchikuma.jp/articles/-/...

司会:高瀬毅

2023年11月29日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】 資本に食われる大学 ~自治と「コモン」を取り戻せ~

資本主義が世界を覆い尽くす中、自治の精神や公共財、共有の概念である「コモン」が失われています。人々は、全て消費者として存在を強いられる状況は人間をさらに疎外するだけです。そこから人間らしさを取り戻すためには「コモン」をもう一度自分のものにする必要があります。

今回は、白井さんの仕事の場である大学を通して考えました。

司会:高瀬毅

2023年10月20日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】 「戦後」はこうして始まった ~戦艦ミズーリとパールハーバー~

9月は日本の敗戦が決まった月です。

1945年9月2日、東京湾上に停泊していた米国の戦艦ミズーリ号の甲板で日本と米国を中心とした連合国との間で、日本の降伏文書が調印されました。

ただ、日本人は8月15日の「終戦の日」に比べ、この日をあまり意識していません。

しかし、戦後から今日まで続く日米関係は、この日からスタートしています。その意味について、現地パールハーバー取材も紹介しながら考えます。

司会:高瀬毅

2023年9月1日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】 いまこそ、小日本主義! 〜没後50年 甦る石橋湛山の理想と哲学〜

今年は、石橋湛山没後50年です。東洋経済新報元社長で、ジャーナリストから政界へ転じ、首相となった湛山は優れたエコノミストでもありました。戦前から一貫して戦争、拡張主義に反対する「小日本主義」を唱え、日本近代150年の中で、異彩を放つ、唯一の理想的政治家でした。いま湛山を見直そうという動きが政界でも始まっています。湛山の人生と生きた時代を通して、いま私たちが学ぶことは何かを考えます。

司会:高瀬毅

2023年6月18日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】入れ替わる米中覇権 ~「米国偏重」日本の選択は?~

G7広島サミットは成功だったと岸田政権は自画自賛していますが、内実は、世界的にG7の影響力が低下する中での結束を確認したものでした。世界はいま米中の覇権をめぐる対立と同時に、存在感を高めるグローバルサウスの台頭による多極化も進行しています。

中国の仲介によるサウジとイランの劇的な国交正常化、基軸通貨米ドルからの離脱などが始まり、そんな中で日本は今後どう生き残る道を見つけるのかを考えました。

司会:高瀬毅

2023年5月27日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】愛国者が行きついた言論の「覚悟」~新右翼・鈴木邦男さん追悼~

今年1月に亡くなった新右翼の鈴木邦男さんは、リベラル、左派からも愛された言論人でした。4月2日は、生前鈴木さんとゆかりのあった人達が発起人となり、「偲ぶ会」が開かれました。暴力も厭わない「愛国者」から言論人への転身の背景に何があったのか。

三島事件を始め戦後史に残るテロ事件などを振り返り、鈴木さんが問いかけていた問題を考えました。そして、なにより人間性の魅力。人生を賭けた「覚悟」とは何かを論じました。

※年表内の表記に誤りがありました。

 誤)夕方のコペルニクス → 正)夕刻のコペルニクス

司会:高瀬毅

2023年4月7日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】呼び出されるマルクス 〜生きづらさの根源解き明かす「資本論」〜

マルクスの「資本論」は、完読するのはそれほど簡単ではありません。しかし、自分がいま置かれている状況や、どこか生きづらいと感じていることを「資本論」は解き明かしているとしたらどうでしょうか。白井聡さんが2月に出した『マルクス~生を呑み込む資本主義』は、卑近な具体的問題を通して、資本が労働だけでなく、労働者の人生そのものを飲み込んでいく実態を解き明かしています。「包摂」という概念で括られるもので、そこから労働力=商品とは何かという資本論の真ん中へと論を展開しました。一気にマルクスが近しいものになる番組です。

司会:高瀬毅

2023年3月19日 収録

■白井聡 著『今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義』 (講談社現代新書)

https://bookclub.kodansha.co.jp/produ...


【白井聡 ニッポンの正体】誰が子供を育てるのか ~古い家族観から脱却せよ~ ゲスト:浜田敬子さん

今国会の焦点の一つが「異次元の少子化対策」です。ネーミングは大げさですが、現政府に、この国で子育てをすることの困難が分っているとは思えません。そもそも結婚もしにくく、仕事も非正規雇用が多く、子育ての裾野や関わりのある分野の問題は山積しています。今回は、女性の自立、仕事、子育てなどに詳しい元AERA編集長でジャーナリストの浜田敬子さんをゲストに、存分に語り合います。

司会:高瀬毅

2023年2月12日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】NHKは本当に必要なのか~巨大メディアの内と外~

日本最大のメディアNHKの新会長が1月25日に就任しました。NHKに対しては、その報道姿勢や、受信料など運営について視聴者から批判や不満、疑問の声が年々高まっています。

NHKに何が起きているのか。NHKは本当に必要なのか。

NHKの外側だけでなく、内側の声も拾い上げ、検証しました。

司会:高瀬毅

2023年1月21日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】米軍基地から日本が見える~終わらぬ「占領」・迫りくる危機~

台湾を巡って米中戦争の可能性が取りざたされるなど東アジア情勢に不穏な空気が漂い始めています。

もしそうなった場合、在日米軍基地は標的になる可能性は極めて高いと言わざるをえません。

しかし、日本人は全体として米軍基地に対して関心と知識は高くありません。

その背景には、米軍と米国によってもたらされた戦後の文化が影響しています。

米軍基地とは何か。軍事、政治、文化の多角的な視点で考えます。

司会:高瀬毅

※高瀬毅 寄稿記事「砂川闘争の現場を歩く――土地はなぜ返還されたのか」

https://news.yahoo.co.jp/feature/497/

2022年11月20日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】売られる国の落日「失われた30年の罪」~目標喪失とさまよえる欲望~

円安・物価高が止まりません。新型コロナ感染のパンデミックやロシアのウクライナ侵攻という想定外の事態が世界の経済構造に大きなインパクトを与えたことが原因です。

ただ、日本はそれだけでなく「失われた30年」の問題がベースにあります。日本から何が失われたのか。今回は経済の視点から迫ります。

司会:高瀬毅

2022年10月22日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】~ 統一教会問題の源流 ~ 戦中・戦後貫く岸信介とアジアの蜜月

安倍元首相銃撃・死亡事件から2か月半。旧統一教会と自民党政治の癒着、持たれあい

の実態が暴露されています。その源流はどこにあるのでしょうか。戦前・戦後を貫く日

本の右派とアジアの蜜月関係の問題を、安倍元首相の祖父、岸信介元首相を軸に探究し

ます。

※テロップ訂正

1:14:15 鳩山一郎 第52、53、54代首相 元首相鳩山由紀夫は一郎の孫

(「代」が抜けていました)

司会:高瀬毅

2022年9月25日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】~明治維新77年・戦後77年~ コミックで考える「日本のいちばん長い日」

1945年8月15日、日本は、ポツダム宣言受諾を伝える天皇の「玉音放送」によって終戦

の日を迎えた。しかし、ここにいたる道程は波乱に満ちていた。前日14の正午から15日

正午の玉音放送までを描く『日本のいちばん長い日』はあまりにも有名だが、この夏コ

ミックが発売された。それを元に日本の終戦とは何だったのかを、国体論も交え議論し

た。

司会:高瀬毅

2022年8月7日 収録

<玉音放送の全文>

 朕(ちん)、深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非常の措置をもって時局を収拾せんと欲し、ここに忠良なるなんじ臣民に告ぐ。

 朕は帝国政府をして米英支蘇(べいえいしそ)四国(しこく)に対し、その共同宣言を受諾する旨(むね)通告せしめたり。

 そもそも帝国臣民の康寧(こうねい)を図り、万邦共栄の楽(たのしみ)をともにするは、皇祖皇宗(こうそこうそう)の遺範(いはん)にして朕の拳々(けんけん)おかざるところ。さきに米英二国に宣戦せるゆえんもまた、実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに出で、他国の主権を排し領土を侵すがごときは、もとより朕が志にあらず。

 しかるに交戦すでに四歳(しさい)を閲(けみ)し、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励精、朕が一億衆庶の奉公、おのおの最善を尽くせるにかかわらず、戦局必ずしも好転せず、世界の大勢また我に利あらず。しかのみならず敵は新たに残虐なる爆弾を使用してしきりに無辜(むこ)を殺傷し、惨害の及ぶところ真(しん)にはかるべからざるに至る。しかもなお交戦を継続せんか、ついにわが民族の滅亡を招来するのみならず、ひいて人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。

 かくのごとくは朕、何をもってか億兆の赤子を保(ほ)し、皇祖皇宗の神霊に謝せんや。これ朕が帝国政府をして共同宣言に応じせしむるに至れるゆえんなり。

 朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せざるを得ず。

 帝国臣民にして戦陣に死し、職域に殉じ、非命にたおれたる者および、その遺族に思いを致せば、五内(ごだい)ために裂く。かつ戦傷を負ひ、災禍をこうむり、家業を失いたる者の厚生に至りては朕の深く軫念(しんねん)するところなり。

 おもうに今後、帝国の受くべき苦難はもとより尋常にあらず。なんじ臣民の衷情(ちゅうじょう)も朕よくこれを知る。しかれども朕は時運のおもむくところ、堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す。

 朕はここに国体を護持し得て、忠良なるなんじ臣民の赤誠(せきせい)に信倚(しんい)し、常になんじ臣民と共にあり。

 もしそれ、情の激するところみだりに事端をしげくし、あるいは同胞排擠(はいせい)、互いに時局をみだり、ために大道を誤り、信義を世界に失ふがごときは朕最もこれを戒む。

 よろしく挙国一家、子孫相(あい)伝え、かたく神州(しんしゅう)の不滅を信じ、任重くして道遠きをおもい、総力を将来の建設に傾け、道義を篤くし、志操(しそう)をかたくし、誓って国体の精華を発揚し、世界の進運に後れざらんことを期すべし。

 なんじ臣民それよく朕が意を体(たい)せよ。

..............................

<現代語訳>

私は深く世界の大勢と日本の現状に鑑み、非常の措置をもって時局を収拾しようと思い、忠義で善良なあなた方臣民に告げる。

私は帝国政府に米国、英国、中国、ソ連の4カ国に対しその(ポツダム)宣言を受諾することを通告させた。

 そもそも帝国臣民の安全を確保し世界の国々と共に栄え、喜びを共にすることは、天皇家の祖先から残された規範であり、私も深く心にとめ、そう努めてきた。

先に、米・英2カ国に宣戦を布告した理由もまた、帝国の自存と東亜の安定を願ってのものであって、他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりするようなことは、もちろん私の心志(意志)ではない。

しかしながら、戦闘状態はすでに4年を経て、わが陸海将兵の勇敢な戦闘や、官僚・公務員たちの励精、一億民衆の奉公は、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もわれわれにとって不利に働いている。

それだけでなく、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用して、罪のない人々を殺傷し、その被害ははかり知れない。それでもなお交戦を継続すれば、ついにわが民族の滅亡を招くだけでなく、それから引き続いて人類文明をも破壊することになってしまうだろう。

そのような事態になったとしたら、私はどうしてわが子ともいえる多くの国民を守り、皇祖皇宗の神霊に謝罪することができようか。これが私が政府に宣言に応じるようにさせた理由である。

 私は帝国とともに終始、東亜の解放に協力してきた友好国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。

帝国臣民であり、戦場で没し、職場で殉職し、悲惨な最期を遂げた者、またその遺族のことを考えると内臓が引き裂かれる思いがする。さらに戦場で負傷し、戦禍に遭い、家や仕事を失った者の厚生については、私が深く心配するところである。

 思うに、今後、帝国の受けるであろう苦難は尋常ではない。あなたたち臣民の本心も私はよく知っている。しかし、私はこれからの運命について堪え難いことを堪え、忍び難いことを忍んで将来の万世のために太平の世を切り開こうと願っている。

 私は、ここにこうして国体(天皇を中心とする秩序)を護持して、忠良なあなた方臣民の偽りのない心を信じ、常にあなた方臣民と共にある。もし激情にかられてむやみに事をこじらせ、あるいは同胞同士が排斥し合って国家を混乱に陥らせて国家の方針を誤って世界から信用を失うようなことを私はもっとも戒めたい。

 国を挙げて一つの家族のように、子孫ともどもかたく神国日本の不滅を信じ、道は遠く責任は重大であることを自覚し、総力を将来の建設のために傾け、道義心と志操(守って変えない志)をかたく持ち、日本の栄光を再び輝かせるよう、世界の動きに遅れないように期すべきだ。あなた方臣民は私のそのような意を体してほしい。

..............................

『日本のいちばん長い日』(上・下)半藤 一利(原作)・星野 之宣(漫画)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/...

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/...


【白井聡 ニッポンの正体】原発事故はまた起きる!最高裁、驚愕の無責任判決

             ゲスト:馬奈木厳太郎さん

東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、

最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示しました。

この判決をどう見るのか。また、今後再び事故が起きうる可能性について

福島の事故を基に再検証しました。

2022年7月10日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】~参院選への視点~アベ・スガ・キシダ「長期腐敗体制」を解体せよ!

参院選がスタートし、7月10日投開票が行われます。

これは、第2次安倍政権が発足した「2012年」からつづく

「長期腐敗体制」下の選挙だと白井さんは分析します。

淀んだ10年はなぜ生まれたのか。

そこから脱却するには何が必要かを考えました。

2022年6月24日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】~追悼 宮崎学~ 差別を撃ち続けた「突破者」

作家の宮崎学さんが今年3月亡くなりました。ヤクザに生まれ、左翼運動やジャーナリ

ストとしても活躍した半生を赤裸々につづった『突破者』で知られました。宮崎さんが

言いたかったことは何か。デオドラント化された日本社会を根底から問い直す主張を、

どう考えるでしょうか。

司会:高瀬毅

2022年5月6日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】~映画 「教育と愛国」 から考える~ 歴史を私物化する“愛国者”

教育への政治介入が安倍政権以降、露骨になっています。その実態を抉りだした映画『教育と愛国』が5月に東京、大阪で公開されます。番組では、その映画を基に、いま日本で進む“愛国”教育の問題を考えます。

司会:高瀬毅

2022年4月10日 収録

映画『教育と愛国』公式ウェブサイト

https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/


【白井聡 ニッポンの正体】~ウクライナ危機の衝撃~「核」を欲しがる被爆国

「ニッポンの正体」2回目は被爆国の矛盾について。

被爆国として核を否定しつつ、安全保障は米国の核に頼るという矛盾を

日本人はどこまで本気で考え抜いてきたのか。

「核については関わらない」という態度で、非核、反核を言ってきた

だけではないのか。ウクライナ危機をきっかけに持ち上がった

「核の共有」の議論から、日本の非核の覚悟まで考えました。

司会:高瀬毅

2022年3月14日 収録


【白井聡 ニッポンの正体】日本は、なぜ朝鮮戦争の終結を望まないのか

新番組「白井聡のニッポンの正体」。気鋭の政治学者、白井聡さんと、日々のニュース

の根本にある、ニッポンの政治的問題を解きあかします。

第1回目は、韓国の文在寅大統領が繰り返し表明している「朝鮮戦争終結宣言」について。その背景を探っていくと、休戦状態が70年近く続く朝鮮戦争を終わらせたくないニッポンの奇妙な本音が見えてきました。司会は、高瀬毅。

2022年2月26日 収録